『100ぴき つなひき』.矢野アケミ作・絵.鈴木出版
本記事では、矢野アケミさんの絵本『100ぴき つなひき』(発行:2025年4月 鈴木出版)のレビューをしていきたいと思います。
草原や森、水辺、私たちの身の回りでも、さまざまな場所で虫さんたちは暮らしています。こちらの絵本は、そんな虫さんたちがとてもかわいらしい絵で描かれています。
お子さんと一緒に虫さんたちを応援しながら楽しめる!
大人も意外と知らなかった虫さんたちの名前を学ぶことができる。
ページを開けば、一生懸命がんばる虫さんたちの世界がのぞけてしまう、素晴らしい絵本です。
いざ、小さき生き物たちの世界へ! 一緒に虫さんたちを応援していきましょう!
『100ぴき つなひき』の魅力をひと目でチェック!
『100ぴき つなひき』のおすすめポイント!

『100ぴき つなひき』は、虫さんが苦手な子どもたちにも、かわいいと考えが変わるような、親しみ深い絵で描かれています。
中身も詳しく見ていくと、作り込まれている部分ばかりなので、お子さんと一緒に楽しむ方にはもちろんのこと、深読み好きな大人にもおすすめな作品です。ぜひ、ご参考までに。

『100ぴき つなひき』のあらすじは? 簡単にご紹介!
草むらや森、水辺、いろいろな場所に住んでいる虫さんたち。
かわいらしい虫さんたちに、ある日、とある招待状が届きます。そこには「つなひき」大会が開催されることが書かれていました。
虫さんたちはみんなで集まり、ついに、100ぴきつなひきが始まります……。
『100ぴき つなひき』はここがすごい! 読んで感じた魅力を徹底レビュー
①:まるで、虫さんたちが飛び出すような愉快なしかけ
最初の魅力として、私がご紹介したいのが「まるで、虫さんたちが飛び出すような愉快なしかけ」です。
しかけ絵本として呼ばれることもある『100ぴき つなひき』ですが、私が語りたいのが、この「しかけ」のタイミング。
私はしかけ絵本の中での「しかけ」には、絵本自体を魅せるしかけや、物語に関連するしかけなどがあると思っていますが、こちらの絵本で新たな価値を発見してしまいました。
それが「物語を動かすしかけ」です。
出版社様である鈴木出版様では、対象年齢が3歳からとなっていて、物語要素も含まれている本作品ですが、そんな物語の中でも、とっても大事なタイミングでしかけが施されているんです。
しかけのついた絵本で、そのタイミングや使い方は、絵本の魅力を高めるものでもあり、ミスをすれば魅力を低くしてしまうものでもあると思います。しかし、その点で言えば、『100ぴき つなひき』はまさに大成功している作品です。
では、どこでそのしかけが描かれているのか、それは……私からは内緒です! 実際の絵本を読んで確かめてみてくださいね!
②:細かいところまで考えられ、描き込まれた絵
次は、絵本なので、絵についても魅力をご紹介していきたいですが、他の絵本にはないと私が考えている『100ぴき つなひき』の絵の魅力は「細かいところまで考えられている絵」というところです。
中でもおすすめしたいのが、あらすじでも書いた「招待状」について。これ、実際の絵本でほんとに見ていただきたい部分ですが、実は誤字があるんです。
手書きの招待状というのが、またかわいらしさが溢れるところ。そこに加えて、誤字まで描かれているなんて、いったい誰のアイデアなのか!
私たち人間も、手書きで物書きをしていたら、そのつもりはなくてもついつい間違いをしてしまうことってありますよね。
そこでこの招待状は、「虫さんたちも私たち人と同じなんだー!」と感じることができる。そこまで思わせてくれる絵は、なかなかありません。
普段、あまり意識することのない小さな虫さんたちに、人との共通点を感じさせることで一気にお話の世界へ引き込むのが、本当に考えられています。
また、大人の方に対して言えば、日ごろ、お子さんに比べると、虫さんたちを気にせず生きているのではないでしょうか。
今、ご紹介した部分から物語が始まるので、大人が読んでも、すぐに絵本の世界へ吸い込まれ、楽しむことができます!
忘れてしまいがちですが、どんな虫さんたちが登場しているのか、絵の下に名前がちゃんとつけられているのも魅力的な点です!
お子さんはこれから知ることができるし、大人は意外と虫さんのこと知らなかったとなります(私はそうでした!)。
ぜひ、お手に取って、素晴らしい絵をご堪能ください。
③:お子さんとの絆も深まる、虫さんたちを一緒に応援する物語
最後は、この絵本の一番の核といってもよい「虫さんたちを一緒に応援する物語」です。
『100ぴき つなひき』は、虫さんたちがつなひき大会をするお話。
お子さんがいらっしゃる方は、読み聞かせをする際、お子さんと一緒に虫さんたちを応援することができちゃいます。つなによって、親子の絆も深めましょう!
それも、きっと本気で応援することができます。
なぜなら、このつなひき大会、あっちへ、こっちへ、とっても白熱したバトルとなるからです。その様子は、表紙画像からも感じられる部分だと思います。
つなひき……。お子さんは今、まさにやっていることだと思います。みなさんの小さい頃はどうでしたか?
お子さんに読み聞かせをしながら、懐かしさに浸るのも、すごーく良いと思います。私は一人で読んだので、懐かしさの印象が強く、大人だけで読んでも、そんな楽しみがありますね。
春や夏、運動会が盛んになってくる季節にもとてもぴったりな絵本ですよー!
(この絵本が発売した時期を考えてみても、そうなのではないかなーと、私は思ってみたり……。)
作者・矢野アケミ様から、コメントをいただきました!
X(旧Twitter)のほうで、なんと、『100ぴき つなひき』の作者様である矢野アケミ様から、本記事にコメントいただきました。
主に、魅力を語る②の点についてコメントをいただきました。矢野アケミ様、誠にありがとうございます!


※こちらのコメントは、矢野アケミ様から直接許諾をいただき、掲載しております。ご本人様にご迷惑となる行為は絶対におやめください。
ぜひ読んでほしい!『100ぴき つなひき』レビューのまとめ
『100ぴき つなひき』のおすすめポイント!
矢野アケミさんの絵本『100ぴき つなひき』は、とてもよく考えられ、作り込まれた絵と、ベストタイミングな「しかけ」なども用意された、がんばる虫さんたちを応援したくなるかわいらしい絵本でした。
虫好きなお子さんや、お子さんと一緒に絵本を楽しむ体験をしたい親御さんはもちろん、作品の深読みが好きな大人の方、いろいろな方たちにおすすめです。

みなさん、一緒に応援してみたくなりましたか? お手に取った際は、ぜひ、つなひきが始まるときに「虫さんたちが何匹いるか」数えてみてくださいね。ヒントはこの絵本のタイトルですよー

▼もっと本・絵本レビューを読みたい! おすすめを知りたいと思ってくださった方へ
絵のクオリティは絵画級! おいしそうなくだものたちが描かれた、平山和子さんの絵本『くだもの』のレビューもお楽しみください。
コメント欄