矢萩多聞著・吉田亮人写真.『はたらく図書館』.創元社,2024
本記事では、矢萩多聞(著)さん・吉田亮人(写真)さんの【写真絵本】『はたらく図書館』(刊行年月日2024/11/08 創元社)のレビューをしていきたいと思います。
創元社様のはたらく写真絵本シリーズ。いろいろな職業について、大人も、子どもも関係なく学ぶことができる絵本シリーズですが、今回の舞台は図書館。
読めば、「自然な角度からの巧みな写真から、図書館員さんの仕事について、わかりやすく学ぶことができる」わくわくの絶えない、はたらく絵本です。
今一度、「はたらく」とはなんでしょうか。
大人の方は現在のお仕事と照らし合わせて。お子さんは将来のお仕事を考える機会や、純粋にはたらく楽しさの味わいに。ともに考えながら、楽しんでみていきましょう!
『はたらく図書館』のおすすめポイント!
『はたらく図書館』のおすすめポイント!

『はたらく図書館』は、絵本のデザインとしても、とっても興味をそそる高級感あるデザインです。これからご紹介していく内容についても、小学生や中学生ぐらいのお子さんや、今現在はたらいている大人の方にも、大変おすすめな作品ですので、ぜひ、ご参考までに。
『はたらく図書館』のあらすじ
舞台は奈良県にある「奈良県立図書情報館」という図書館。
開館時間よりも前から図書館に出勤し、準備を始める図書館員さんたち。
図書館での「はたらく」は、ただ本を並べたり、貸し出ししたりするだけじゃない!
あらゆる生涯学習のため、さまざまな取り組みが行われている図書館のお仕事を、魅力的な写真とともに一気見してみよう!
『はたらく図書館』を読んだ感想(魅力を語る!)
①:リアルな図書館員さんのお仕事風景が、時系列順にご紹介されている
みなさんは、普段、公立図書館などは利用されていますか?
私は自分が現在、司書課程を学んでいたり、実際に図書館の事務職員であることから、公立図書館にはいつもお世話になっております。
図書館って大体、9時やその前後から開館するのが大半かと思いますが、実は、図書館員さんたちのお仕事は、開館前からはじまっているんです。
こちらの絵本は、そんな「リアルな図書館員さんのお仕事風景が、朝の出勤から夜の帰宅にいたるまで。時系列順にご紹介」されているため、とてもわかりやすいです。
朝の開館準備から、お昼ご飯の時間、閉館してからの作業……。
普段、図書館の利用者である私たちは、図書館員さんが本を本棚(書架という)に並べている様子や、本の貸し出しを行ってくれるというのは想像しやすいですよね。
しかし、実際には、図書館員さんたちはもっと多くの仕事をしているのです。細かく見ていった最後には、表側だけでは見ることができなかった裏側のお仕事に、私たちの図書館員さんへの感謝はさらに大きなものとなるでしょう。
さらには、図書館員さんへの憧れも……。
このように、大変そうだけど、その分、やりがいと面白さがたくさんあることを、時系列順にまとめられたお仕事内容からわかりやすく知ることができます。
②:図書館員のみなさんの熱い想いを肌で感じる写真と地の文
写真絵本とも言われているこちらの絵本の魅力として、やはり外すことができないのが「自然な角度から撮影されたお仕事写真」です。
ただ説明されるのでも、お仕事内容を把握することは可能ですが、写真がつくことで、図書館員さんたちの心持ちや、お仕事に対する熱意が、肌感覚で伝わってきます。
真剣な表情やリラックスした表情、ブックトラックと呼ばれる本を運ぶ車輪のついたカートを移動するカットなど、自然な角度から撮られた写真だからこそ、それも伝わります。
加え、図書館員さんたちの熱い地の文も魅力的です。
それは単なるお仕事の説明にあらず、どういう部分に気を配っているのか、どのような気持ちで図書館を運営しているのか、写真とともに言葉でも熱を感じられます。
著者である矢萩多聞さん、写真をご担当の吉田亮人さんのセンスが、絵本全体に行き届いておりますね!
詳しい写真の様子や地の文の言葉は、ぜひ、実際に絵本を買って読んでみてくださいね!
③:これからの図書館の形? 最新技術もご紹介!
現在、情報技術が加速する社会の中で、図書館は変革期にあると言えます。
従来の図書館の在り方を尊重しつつ、新たな時代にあった図書館を、利用する私たちも含めたすべての図書館関係者が作っていくのが大切になってきています。
そのはじまりとして、図書館では資料を保存する際、本棚を識別するときなど、さまざまな場面でさまざま最新技術が導入されています。
こちらの絵本は、そんな「これからの図書館についても考えることができる」部分がしっかりと描かれています。
まさにはたらく写真絵本に相応しい、これからその職に就く子どもたちも想定された内容となっているのです。
最新技術のロボットにわくわくするのはもちろん、図書館員になってみたいと思う子どもたちが現れるのも間違いなしです。
『はたらく図書館』レビューのまとめ
『はたらく図書館』のおすすめポイント!
矢萩多聞(著)さん・吉田亮人(写真)さんの【写真絵本】『はたらく図書館』は、こどもも大人も関係なく、図書館のお仕事について理解を深めることができる、大変学びのある絵本でした。
お子さんにはこれからの将来を考える機会に。大人の方は今の職と照らし合わせて。就職・転職活動の手助けにもなってくれるかもしれません。絵本で職業を知ることができるなんて、とっても素敵な体験ですね。

こちらの絵本を読み終えたあとは、ぜひ、お近くの図書館へ行ってみましょう。みなさんが住んでいる地域の図書館員さんたちも、この写真絵本でご紹介されているように日々、私たちのために頑張っているはずです。
よーく観察して、機会があれば「いつもありがとうございます」とお礼を伝えてみてくださいね!
もっと絵本のレビューが見たいと思ってくださった方。
実際の職業? にはないかもしれませんが、奇想天外な発想力が学べる田中達也さんの絵本『くみたて』のレビューもお楽しみください。
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