『がたんごとん がたんごとん ざぶんざぶん』.安西 水丸 作.福音館書店
本記事では、安西水丸さんのあかちゃんの絵本『がたんごとん がたんごとん ざぶんざぶん』(初版年月日2012年05月10日 福音館書店)のレビューをしていきたいと思います。
イラストレーター、漫画など、多方面でも有名な安西水丸さんの名作絵本。あかちゃん向けの絵本としてご紹介されていますが、そのかわいらしさの奥には緻密な伏線が隠されているような感覚も受けます。
声に出して読めば、テンポの良い汽車のリズムを感覚的に楽しめる。考えながら読むと、美しい最後にパズルのピースがハマったようにすっきりすること間違いなし!
シンプルな色合いに夏の雰囲気も相まって、とっても鮮やかな素晴らしい絵本です。
『がたんごとん がたんごとん ざぶんざぶん』のおすすめポイント!
『がたんごとん がたんごとん ざぶんざぶん』のおすすめポイント!

あかちゃんがいらっしゃる親御さんの方々にはもちろん。そのほかにも、リズミカルな文章が好きな方、伏線回収が好きな方も楽しめる作品です。レビューもぜひ最後までご覧ください。
『がたんごとん がたんごとん ざぶんざぶん』のあらすじ
「がたんごとん」とテンポよく海辺の近くを走る一台の汽車。
そこへアイスや麦わら帽子など、夏に似合うお客さんたちが「のせてくださーい」とどんどん汽車に乗り込んでいく。
「ざぶんざぶん」と聞こえる波の音、汽車たちがたどり着く場所とは……。
『がたんごとん がたんごとん ざぶんざぶん』を読んだ感想(魅力を語る!)
①:シンプルでかわいらしい絵に、リズミカルな「がたんごとん」の反復が心地いい
安西水丸さんと言えば、このシンプルで自然的なかわいらしい絵が特徴。
『がたんごとん がたんごとん ざぶんざぶん』でも、そのかわいらしさは変わることなし。汽車が乗せていくものたちには、それぞれ表情がついていて、とても親しみやすいです。かわいい!という感情から逃れることはできません。
さらに、作品の良さを高める「がたんごとん」というリズミカルな文章の反復。あかちゃんの絵本と掲げられる通り、あかちゃんウケは抜群だと思います。
読み聞かせにも相性抜群で、声に出して読んでいると、大人でも歌を歌っているかのように楽しむことができます。
②:お客さんがまるで仲間のように。どんどん増えていく嬉しさ
あらすじにもあるように、汽車には、どんどんお客さんが乗り込んでいきます。
汽車目線では、あくまでお客さん。そこに友好関係はないように見えますが、安西水丸さんの画力により、乗り合わせたすべてのものたちが、徐々に仲間のように見えてきます。
一度感じると、1つ、2つと増えていく仲間が嬉しくなっていきます。
後ろの荷台だけでなく、汽車全体を使ってお客さんを乗せている描写にも、またかわいらしさが芽生えます。
私たち「人」も電車に乗っていて、たまたま乗り合わせた人たちが仲間のように思えたら、すごく素敵ですよね。そんな人間側にも寄り添った表現だと思います。
③:汽車たちはいったいどこへ向かうのか。鮮やかな伏線回収!
作品の中で私が最も魅力に感じたのが、たくさん乗客が増えていくことで「この汽車たちはいったいどこへ向かうのだろう」という期待感です。
そこで引っかかるのが、あえて触れていなかった「ざぶんざぶん」という波の音。「がたんごとん」とともに聞こえて、フォントの色にも変化がつけられています。
私はこの音、すごく気になりました。海辺の近くを走っているとしても、なぜ「がたんごとん」と同じ頻度で、この擬音は使われているのか。「がたんごとん」は比較的、汽車に馴染みのある音ですが「ざぶんざぶん」は違います。
しかし、その引っかかりこそが「この汽車たちはいったいどこへ向かうのだろう」という疑問の答えにつながっていたのです。
それはまるで鮮やかな伏線回収のよう。
さて、汽車たちはいったいどこへ向かうのか。それはなんと! ……と、惜しいところですが、続きはぜひ、絵本をご覧ください。
『がたんごとん がたんごとん ざぶんざぶん』レビューのまとめ
『がたんごとん がたんごとん ざぶんざぶん』のおすすめポイント!
あかちゃんの絵本『がたんごとん がたんごとん ざぶんざぶん』は、汽車のリズムを感覚的に楽しめる。美しい最後にパズルのピースがハマったようにすっきりすること間違いなし!
シンプルな色合いに夏の雰囲気も相まって、とっても鮮やかな素晴らしい絵本でした。
あかちゃんがいらっしゃる親御さんの方々にはもちろん。リズミカルな文章が好きな方、伏線回収が好きな方も楽しめる作品です。

声を出しながら読み「がたんごとん」と「ざぶんざぶん」のリズムを存分に楽しみましょう。もし、レビューに共感していただけたら、汽車たちがどこへ向かうのか考えながら読んでみてください。
コメント欄