詩:『、観察、信じ、ことば、ともに……。』|あなたの存在が私をつくる。私の存在があなたをつくる。だから信じて、ともに、生きる|創作

詩・視覚詩

 PDFはリンクから、ぜひ全画面表示でお楽しみ下さい。
 横読みはPDFの下部にございます。

af9036fb78cc2a6463bee2b346d785a0

『、観察、信じ、ことば、ともに……。』縦読みリンク

 あなたが錬成されるより古き彼方から

 この思考と生死はあなたを観ていた

 いまもむかしも、その地点には存在せず

 ただココ! ココだけがあった

 幼い手足ではじめて草花をかき分けたとき

「観察」は、あなたに与えて

 あなたは、「観察」になった

 視界がひらけたところ

 違った容姿に、違った感情を持ちながら

 どこか親しみやすい、幾数の老樹たちが

 観えただろう

 仙人(せんじん)なる渦どもは語る

「次はあなた」と

 無敵の、無限の、無彩のこの観察は、

 決して届かぬ差別や、種や、類の限界をも喰い殺し

 最後には「ことばの樹」なる一本の懐に収束されるだろう

   この樹に枝はない

      成長もせず、かつ、最長不倒の樹木である

 根に、幹に、樹冠に、梢に、相も変わらず「観察」は存在し続ける

 主体のあなたがいることは

 客観の私がいることの証明

 私が語り綴ることは

 あなたの来歴のよう

 惑星がどこから線を引いてもつながるように

 そこはかとなく、美しい

 何度でも、何回でも、中心をたどって引こう

 あなたは私を「観ない」を得ない

 私はあなたを「観ない」を得ない

 それから生態系が、宇宙が、物語が巻き起こっていたことを知る

 すべてがココ! ココだけにあった

 生まれ落ちたことを憎むことがあるかもしれない

 それでも信じて

 零れる一粒の雫も、最後には底に溜まって清き水になるから

 矛盾が捻じれるのはココ

 ココにある「ことば」を

 、観察、信じ、ことば、

 前よりあなたが紡ぐなら

 私にあとを継がせてほしい

 ともに……。


       、観察、信じ、ことば、ともに……。

2021年6月20日 執筆(2025年4月10日 改稿)

         著者 八坂零(やさかれい)

         掲載 芸術の星座

 最後までお読みいただき、誠にありがとうございます。

 いかかだったでしょうか。『、観察、信じ、ことば、ともに……。

 こちらはもとは『、観察、信じ、ことば、』という題名で、筆者が学生時代に詩の先生から褒めていただいた詩でした。

 少しずつ過去の詩を投稿している現在の当サイトですが、この詩に関しては、改稿とは書いておりますが中身はほぼ、新しく書いたものです。

 作中、あとに出てくる「私」は、おそらく世の中から切り離されたような存在に感じます。孤独で、まわりに誰もいない。だからあとにいる。

 そんな「私」が「あなた」によって発見される。語っているのに発見されるというのは少し変な気もしますが……。そして、互いを認識すること(観察すること)で、互いの存在はできているのですね。

 これは生き物同士、全体に共通する事柄だと思います。ただ一人、世界にいたのでは自分は自分ではない。それどころか、世界は世界ですらないかもしれない。

 そこには「他者」の存在が大切になってくるのでしょう。

 さて、今になって「私」はどうして『ともに』という考えを語ったのでしょうか。

 ちなみに前作『、観察、信じ、ことば、』での最後は「ココにある『ことば』を、私は信じたい――」で幕を閉じます。

 それが長いときを経て、「ともに」が加えられたのには、何かしらの想いや意味があると思うのです。考えていただけたら幸いです。私も考えてみます。

 これかなと思いついた方おりましたら、ぜひ、X(旧Twitter)や一番下のコメント欄で共有してくださるとうれしいです。

 余談ですが、作中の「ことばの樹」のモデルは、おそらくその後の『《愛巡樹 = I and You》』(あいえんじゅ= I and You)につながってくるのですよ。
 初期に投稿した作品なので、まだご覧になっていない方はぜひ。

コメント欄

タイトルとURLをコピーしました