視覚詩(形象詩):『日々、命日』|今日は私の命の日、そして、あなたの命の日。口ずさむように日々、命日|創作

20250528サムネ:日々、命日 詩・視覚詩

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20250528サムネ:日々、命日

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『日々、命日』縦読みリンク

 幾何学分解された絵画に想いを馳せる

 あえて生かすか

 それとも破壊し

 死にたいのか

 散々する横顔

 もとはまっすぐを向いていたはず

 駅も線路も道も町もなくして

 汽笛は聞こえてくる

 記憶だけがあつく、あつく

 ツラに投石

 割れ、我、割れて、

 粉々、分かれ離れ、散々と……

 絵画は完成した

 夢と現の狭間の館で

 思考の涙が破片を伝うまま

 来たる朝焼けを拒むように蹲って寝ていた

 私は昨日、死んだのかもしれない

 昨日、私は死んだのかもしれない

 私は今日、生きているのかもしれない

 今日、私は生きているのかもしれない

 何故だろうか

 起きても尚、私は眠い

 あの絵画のように

 ゆっくりと

 死に向かうのだと思う

 体温は下がり続けている

 己のすべてを無防備にして

 なにかに接続する

 かわるがわるさんざめく

 歯車は大きく回転し

 時代は逆行する

 時間は後退する

 私は……

 私は私の特別を

 そっと

 古びた機械室の中に置く。

 そっと

 記しも残す

 

 「迷っていた

  何度も諦めることにした

  だけれど、向こうは

  簡単なことばでしか言えない

『綺麗』

 だった」

 もはや魅入られた私の瞳に

 才色は映らない

 きっと私の愛する人は

 この激しい痛みを守るのだろう

 ならば私は反逆的に

 世の理に共有しよう

 日々、命日

 あるかわからぬ天国崩し

 あるかわからぬ地獄焼き

 日々、命日

 今際の際で感激する

 痛みの積を解放せよ

 日々、命日

 あなたの痛みは私が感じる

 私の痛みはあなたが感じろ

 日々、命日

 煮え

 滾れ

 日々、

 私の命の日

 あなたの命の日


       日々、命日

2025年2月23日 執筆

         著者 八坂零(やさかれい)

         掲載 芸術の星座

 最後までお読みいただき、誠にありがとうございます。

 いかかだったでしょうか。『日々、命日

 こちらはブログに掲載している中でも、最も新しい詩となりますが、自分で見ても、なかなか恐ろしい題名ですね……。

 ですが、私は毎日がそのように緊迫しているような気がしてなりません。作中の「ゆっくりと 死に向かうのだと思う」は、ふとしたときにいつも感じることです。

 みなさんは、毎日をどのように考えて生きていますか?

 日々が命日だと感じたとき、私はなぜか顔の壊れた絵が頭に浮かび、ただ、ひたすらの「綺麗」ばかりを追い求めるようになってしまいます。

 ですが、それは必死に追い求めてよいものではないという自覚もあります。

 恩師に教わった言葉です。
「まずは、自分が存在すること。それを己が認めること」です。

 これを想うとき、最後の連続する「日々、命日」が、炎が巻き上がるように繰り返され、歌われるのだと思います。

 視覚詩はあまり、人に受け入れられないかもしれませんが、せめて、この命の響きがみなさんにも共有されますように

 命を燃やすように滾ったあとは、ゆっくり夜明けを待つのはいかがでしょうか。
 眠れない夜から飛び出すような詩、『夜明く』(よあく)。こちらもぜひ、ご覧ください。

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